コラムCOLUMN

超える住まい

――――「超える」とはどういうことか。住まいをこれからの時代の新しい基準で捉えなおすことで見えてくることがある。

現代社会において、人間の住まう場所や環境は、かなり多様化し、都心の高層マンションから戸建て一軒家、バリ島の山奥にあるウブドのようなヴィラや、ビーチハウス、小高いハリウッドの丘にある大豪邸、はたまた雪山で作るイグルー、砂漠の中にイベント中だけ作られるホテル、アウトドアキャンプでのテント、おしゃれなグランピングもあれば、災害時に段ボール素材で作るシェルターや、南極などで地面から高い位置に作ったコンテナ型の居住空間、ジャングルの大木の上に作るツリーハウス、水路に浮かべるボートハウスや池の中につくる潜水ハウス、移動可能なトレーラーハウス、、、挙げればきりがないほど住まい方や滞在期間・用途によって、あらゆる居住空間の多様性が生まれている。


この写真は、建築家フランクロイド・ライトによって建築されたアメリカ、ペンシルバニア州にある世界遺産となっている滝の上の「落水荘(1936) 英名:Falling Water」。日本画家の葛飾北斎の「木曾海道小野ノ瀑布」に触発されてクリエイトされたとも言われています。明らかに超えることを思想して設計された住まいの好例。

まず、人が人生の時間を過ごす場所のことを考える時に、家が出発点になることから家のことをファーストプレイスと呼び、オフィスや職場がセカンドプレイス。その中間に位置するサードプレイスであるカフェも今やくつろいだり打ち合わせに使うだけの場所から、働く場所にすら定義を変えてきています。街のカフェではノートパソコンを広げて仕事をする人であふれ、リモートワークやワーケーションが推進されてからというもの、リゾート地の海が見えるマンション一室やロビー、プールサイドが職場という非現実な状況にもぜんぜん驚かなくなってきました。

会議もインターネット経由で行われ、情報もクラウド上に保管するため、物理的なバインダーや棚、文書を印刷するための大きなプリンターなどの物理的スペースも要することがなくなり、どこにいてもその情報にアクセスさえできれば、ノートPCすら使わず、片手でスマートフォンだけでも仕事ができるようにさえなっていますよね。テクノロジーによって、社会が変わり、行動パターンが変わり、家、職場、カフェのすべてが融合し始めているようにも見えてきます。

いろいろな要素が必要なだけ適度に混ざり合い洗練されてきた住まいとしては、沖縄で最高にチルアウトなリラックス空間を作っているこのような住まいに出会ってしまうと、その目を見張る空間デザインには、シンプルに「超えてるな」と思ってしまうものです。


今回はこれからの住まいのことを考えるために、人類にとっての「住まい」という壮大なテーマについて、空想も交えたエンターテイメントとして考察を楽しんでいただければと思います。

―――― 地球上のあらゆるところに生息地を広げていった我々人類78億人。2021年の現在では、感染症対策のためステイホームが推奨され、海外旅行が制限されたり、禁酒法まで発令されてもおかしくない昨今。。。それはまるで100年前の繰り返しさながら。そんな世の中で、これからの社会は一体どんな方向に向かっていくのか。人の働き方も変わり、家というニーズや使い方、住まい方、遊び方の変化にも気づかれていることと思います。

次に何が起こってもおかしくないような状況では、少し先の未来でも予測することは難しく、未来人や占い師、SF作家であっても的確に言い当てることは難しいことでしょう。Googleの入社試験でも有名になったフェルミ推定という柔らかい考え方も動員してみたりしながら、過去、現在、未来と流れの中で推測するほかなく、たとえば少し昔のことも振り返りながら、現在起こっている事象や研究開発が進む分野をつぶさに観察することで先を見渡し、その未来像から現在地点に線を引き戻してくると、その途中にある一歩先は少しは見えやすくなるのではないでしょうか。

いつも時代変革の裏には、こういった思考実験から空想を描き、それを夢でなく実現させようとする試行錯誤のなかで新しい時代が動き始めていました。そこでは、住まいのことだけを考えていては、住まいの未来を語ることはできないでしょう。これまでの人間の行動と暮らしを、いわば棚卸し作業をしながら整理していく中で、見えてくることもあるでしょう。

●モビリティの中身と目的の変化
まず人の行動というと、意思をもって自由に動き回るのが人であり、そのモビリティ=移動に関してみていくと、自分の2本足での歩行から大きく変わった瞬間が、乗り物として馬などを活用しはじめたこと。そこから内燃機関のある乗り物、いわゆる自動車になり、高速道路と鉄道が発達することでヒトとモノの大量輸送が可能に。

そしてガソリン車から電気自動車化すると人工知能AIによる自律運転も始まり、小さな荷物であればドローンによる配達まで。さらに人の輸送も無人化しつつあり、世界では空飛ぶタクシー時代も幕あけしています。わずか100年ほどでまるでSF映画のようなことがあちらこちらで現実化していることには驚くほかありません。

●通信の整備と加速する技術進化
ヒトとモノの輸送の次に、情報通信。アメリカでは国家安全保障のために情報を分散して保管することを目的に、1950年代に軍事用ARPANETが整備され、1970年代になると大学間をつないだ学術研究用のNSFNetが登場し、1993年のインフォメーション・スーパーハイウェイ構想によって商用化された現在のインターネットになりました。いまや、どこでもいつでも情報の同時大量輸送や常時接続も当たり前で、有線から無線モバイル通信、そしてデバイスもどんどんスマート化し、ボタンの無いスマホから、腕時計型や眼鏡ゴーグル型、さらに脳波読み取りで操作できる技術や、脳内チップ埋め込みで脳信号からコンピューターや外部機器を直接操作可能にするニューラリンクなどまで実験は進んでいます。

そこで培われた情報技術の発展で、多分野を巻き込んでのIoT(=Internet of Thingsモノのインターネット)など、イノベーションの掛け合わせで社会進化が加速しているのが現在。

インターネットにつながるホームデバイスとして人工知能が人間の要求する操作をしてくれるアレクサなどは音声認識によるものですが、それもいずれ脳内信号からテレパシーのように通信や指示ができるようになってくるなど、サイバーパンクSF映画でしかないと思っていたことが、すぐそこまで現実に差し迫っています。

2050年には、それら技術の組み合わせによって、人間一人あたり10体のアバターを操作して働いているほどの超効率社会になっている、というのはSF小説ではなく、日本の内閣府でも2020年1月にムーンショット目標として発表があった内容で、このような人間の在り方までが変わるなかで、住まいという概念は一体どのようになっていくのでしょうか。

●働き方、職の変化
未来から一旦現在に戻り、もう少し現実的なところで見ると、パソコンや通信網の普及、そこにリモートワークの推奨で、人は地球上のどこにいても等しく仕事ができるようになり、家とオフィス間の通勤という概念も2020年以後はもはや過去のものになりつつあります。そしてオフィスも脱都心をはじめ、より豊かな自然のあるリゾート地に移動しはじめている。人は好きなところに住まい、効率よく仕事に集中できるPCとネット環境さえそろえば、コミュニケーションが必要な時にだけZOOMやVRを使ったバーチャル空間で打ち合わせもでき、資料や成果物はクラウドサーバー上に保存する。

買い物も、映画も、食品すらもネット注文で、物理的なものから物理的ではないパッケージレスな映画や音楽などのコンテンツもデリバリーされてくるのが当たり前に。そうなると、これまでのようにお客様が外に出かけるのを待っていたらよいという商店感覚のビジネスはこのご時世では通用しないことがわかってくるでしょう。服や靴、家具も車もネットで買えてしまう時代。インターネットの普及が始まったわずか20年前には考えられなかったようなことがもう現実になり、人々の住まい方がいつのまにか刷新されているのでした。

ところで、話は少しだけ横道にそれますが、その昔、お花見宴会をしているところにピザを電話注文して宅配してもらって、家じゃないところにでもピザを持ってきてもらえることを試された方はいらっしゃらないでしょうか。そういう時に、ちょっと不思議な感じを覚えた経験はないでしょうか?

これを例に出したのは、基本設定である家とお店の物理的な関係性から逸脱し、シンプルに需要者のところに必要なものを必要なタイミングで供給するというビジネスの基礎に気づかされる点です。一般的な作られた既成概念のフレームワークから離れて、本質的に需要とそれを満たす方法という捉え方をしていくと、見えてくることがあるかもしれません。

例えば、家も1か所に住まなければいけないと決められているわけでもなく、2拠点居住というデュアルライフ型の人も沖縄ではよくお見掛けします。それは渡り鳥のように、シーズンに合わせてや、ニーズに合わせて必要な時に必要な場所で暮らすという選択。物書きをする仕事の方などはひとところに定住せず、場所を転々とされる住まい方の人も多いことでしょう。

●外から資源を獲得してくる方法の変化
狩猟時代には食べ物を直接的に獲得して持ち帰ることが仕事でした。それで人間は生きていましたが、近代化するに至り、分業と専業化が進み、狩猟を得意としない人たちは価値交換の手段としての通貨を獲得することだけが仕事の目的へと置き換わっていきました。

資源の採取や加工と言った第一次、第二次産業ではロボット化も進み、その産業にいたひとたちは商業、金融、運輸、情報、サービス業などの第三次産業へと移行。それも徐々に省力化がされていき、さらに今からは、IoTやAIを活用した情報通信、医療や教育サービスなどの第4次産業へと急速に変わり始めています。

いつも同じ場所にでかけて獲物を捕ってくる、採取してくる、働きに行く、そして家に資源を持ち帰ってくる、というルーティーンから早く抜け出して新しい方法で生きることを迫られているのかもしれません。むしろ、同じ行動パターンをし続けることの方がリスクとなってきた昨今では、英語でコンフォートゾーンという、いつもどうり繰り返しやってきた心地よさの殻を破って、変化している外部環境に適応していくことの方が重要視されてきているのではないでしょうか。

働く場所も家でなく、カフェもいつもと違うカフェでもいいし、オフィスでもビーチでも、プールサイドでも。それよりも大事なのは、場所というだけでなく、働く産業すらも第4次のものへと移っていかなければならないように進化圧がかかっているものと思われます。

新しい時代の新しい技術を活用して変わってきていることとしては、効率よく生産される食品工場やLEDとAIで制御された野菜製造コンテナ、山の養殖場で作られ商品化された魚などをスーパーマーケットで買い物をする。そのため、生産と加工をしている場所から人間はどんどん離れて、それがどこで作られているに関係なく、スーパーで買い物をするだけで基本的な生活は成り立つようになっています。

コーヒー農園に住んでいないとコーヒーが飲めないということはなく、鶏を飼っていないと卵が食べれないわけでもありません。ワインを飲む世界中の人のほとんどが、農地のなだらかな南向きの斜面近くに住んでいるわけでもありません。

人間は冷蔵庫、冷凍庫の備えつけられたガラスとコンクリートの建物の中に入っていき、土を一度も触らずに食料をもって帰ってきて、時には鉄の箱に入れたものがチーンという音とともに暖かい食べ物が出てくるわけですから、犬や猫やその他動物からしたら、人間は一体なにをしているのか理解不能でしょう。そして布団の中で、地球上の膨大な情報を消費しながら浅い眠りにつき、エクセルの夢を見たりする。いろんな細部をショートカットしていますが、おそらくこれが我々人間を客観視したときの一般的な住まい方ではないでしょうか?

また視点を少し変えてみましょう。

遡ること200万年前の旧石器時代、洞窟に住んでいた人類は狩猟生活から農耕・遊牧・養殖など食べ物の獲得方法と、外敵や寒さからどう身を守るかを考えながら常に最適な場所を選んで移り住んできました。

雨風をしのげて、外敵から身を守り、そして大事なもの=所有物という概念が生まれ、それを守るために小屋や宝箱、それらを隠し、施錠して開ける鍵、そして外からの距離を取ることで時間を稼ぐために庭と塀、ファサードのようなものも生まれることになりました。

自然という脅威からの繁栄をより確かなものにするために、夜には火を囲んで皆が集まり、そこでは、外界で獲得してきた獲物を温めて食べ、暖を取るだけでなく、この先もどうすれば獲物が摂れるか狩猟プランを考え、狩の達人、見えないものが見えるシャーマン、長老などが天文学をも駆使し、星の運行から季節を読み解いて作物の種まきと収穫期を見極めたり、命に関わる外界の危険情報を共有していました。

個や集団としての生死を決める情報を得ることがサバイバルをより確かなものにしてくれることから脳内報酬系が働くため、火を囲んだコミュニケーションはエンターテイメントの最初のカタチであると言われています。そのような情報の共有のために、集団が集まれるパブリックスペースも重要なものでした。

現代社会のそれらは、労働力需要がある都心部での通勤と、スーパーマーケットから近い住まい。さらに鍵のバーチャル化はインターネット上でのIDとパスワードのようなものにアップデートされ、そしてSNSというまさにソーシャルな情報共有の場が展開されていると思います。(このRENT OKINAWA誌面も、また新しい時代のための何かを共有する場として、お役に立てたらと思います!)

そして時は2021年、もはや都心オフィスへの通勤の必要性は薄れ、インターネットアクセスはもはやどこでも可能なため働く場所を選ばなくなり、スーパーマーケット・コンビニさえ近くにあれば、そこが山野や海辺、または別の国、さらには宇宙空間や他の星であっても全く関係なくなっています。駅からの距離や何線が人気という考え方は、都心部に職場も消費地もすべてが密集していたからこそ成り立っていた価値概念であり、職場がリモート化した今では、電車よりもインターネットアクセスやオーシャンビューの方が大事になりました。それと同時に、人々は超管理社会を危惧するものの、自由を得た部分も大きく、物事を知るための火を囲む行為は物理的な限界を超えて、何十億人という人数が一瞬で一つの同じ情報を知ることもできるようになりました。嘘か本当かわからない情報も玉石混交で溢れかえるという弊害ももちろんあるでしょう。

人類は最初に住んでいた洞窟から外に出て外界を知り、わらぶき屋根から瓦やレンガ、コンクリートや鉄を使うようになり、ガラスの開発からソーラーパネルで発電もするようになり、さらには水族館のようにプールの底を下から見上げるような天井や映画館のようにプロジェクターから投影された映像で景色を変える壁・天井を求めるまでになると、それはもはや雨風と外敵からの防衛ではなく、より快適に、よりエンターテイメントに囲まれて暮らし、原体験がないものまでバーチャルなもので知った気になり楽しむ方向性が強まっています。それは素材としての木を知らず、木目調のシートの上で暮らすようなもの。

そして地球を離れて、地球低軌道上を周回する国際宇宙ステーションや地上から高度100kmを越えた領域=宇宙空間に出たことのある人類はこれまでにすでに約600人にものぼり、人間が生息可能なエリアは地上からどんどん境界線を越えていっています。その人数増加は今後数年内に予定されている宇宙観光産業の始まりによってますます加速していくことでしょう。

そんな重力や上下の感覚もないようなところにまで人類は居住空間を広げていることを、ただの宇宙関連のニュースとだけとらえるのではなく、人類が向かっている未来の入口として捉えると、見えてくることがあるでしょうか。約20年前、地球上でインターネットという言葉が広まりはじめていたときに、新聞紙ではインターネット関連のニュースがワンコーナーとして掲載され始め、気が付いた頃にはすでにインターネット関連ではないニュースを見つけることの方が難しくなったように、これからは宇宙関連だらけのニュースになってくることでしょう。

星降る空を見上げながら暮らしていた太古の時代から、未来には青く輝く地球を下に眺めながら暮らす子供たち、または火星の赤い地表や他の惑星、宇宙空間で暮らす新人類も増加していくでしょう。それは、過去に地球に降り注いだ隕石による壊滅状態や氷河期がまた来る可能性に対する備えとして、人類が他の場所にも生命のバックアップを残しておきたいという生存本能から来ているのかもしれません。我々にとって地球というホームが一つしかなく、その大切さと同時に、1か所しかないホームに住まう人間という種としての脆弱性にも気が付けたことが、これからの住まいを再定義していくことになるでしょう。

思想家で建築家のリチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983年)は「宇宙船地球号」という言葉を残しました。
それは、地球のことを宇宙を航行するひとつの船として例えられ、人類はみんなが乗組員であるから、争いは望ましくないということであり、資源の有限性と適切な使用に意識を向けさせるパワフルな概念でした。すでにそういう意味では、我々は今も昔も常に宇宙の中で、地球という住まいに時間と空間を78億人と共有して暮らしていることになります。ただそのことが最近になってから、SpaceXやNASAなどの活躍により認識されやすくなってきただけのことかもしれません。

そんな未来を見据えた人類進化やテクノロジー開発はすでに始まっていおり、子供に対する教育も科学、テクノロジー、エンジニアリング、アート、数学を軸とした頭文字5つで構成されるSTEAM教育がアメリカではすでに当たり前になり、PC1人1台時代というレベルではなく、そんな宇宙時代の未来に役立つ大人をどれだけ孵化させられるかがカギになるということです。

そのインキュベーション(=孵化)の場としての家庭や住まいには何ができるのか、それを考えることが、テーマの「超える住まい」ということになるでしょうか。いわゆるインダストリー4.0の社会が来た時に、自宅という場所は、そのインダストリー4.0の中で定義されるものになっているのかもしれません。

鳥のヒヨコが卵から孵化して歩き出し、1人前になる頃には大人の鳥として大空を飛びまわる。それまでの環境=卵、それが家としての役目。殻は次のステージに進化するタイミングで破られるものでなければヒヨコは殻に閉じこもり大人になれることはなく、飛び回る青空を見ることもない。「超える住まい」=進化のための孵化までの環境として捉えた時に、ステイホーム時代にできる最大限のことは、これからの未来のための新しい知性獲得が叶う環境整備ではないでしょうか。

ちなみに、NASA主催のコンテストでは、火星での家の建築方法を競わせていて、火星表面で採取できる地質を建築資材とする3Dプリンターがこの先に行くことになる人類のための家を創るようになる。地球の100分の1しかない大気と、3分の1しかない重力、かつ気温差も100度を超え、高エネルギーで飛び交う粒子や電磁放射線が降り注ぐ過酷な環境における火星の家は、まさに鳥の卵と同じ形になりそうだというから驚きます。そしてそれを人間を介さずロボットだけで建築し、気温差、放射線、砂嵐、密閉度などの課題を解決するものだといいます。

SpaceX社やヴァージン・ギャラクティック社などは宇宙旅行を間もなく実現しますが、重量のあるものを宇宙に打ち上げる際には膨大な燃料とパワフルなロケットエンジンが必要で、1kgあたり約100万円とされる膨大なコストがかかるため、その宇宙空間で滞在するところに、地球上でのようなラグジュアリーはまだ求められないかもしれません。数時間だけであれば旅客機のファーストクラス、ビジネスクラスでも狭いシートに沈み込んでいても楽しい旅先が待っていると思うと我慢できますが、ある一定期間住まう住居となると要件は変わってくるでしょう。

あらゆるものをコンパクトにするという技術では日本人はユニットバスや壁に収納できるソファベッドのようなモジュール化を得意としてきましたが、世界中がコンパクトホームのアイデアや技術を真似した頃のように、今後は地球での億超えのマンションよりもコストのかかる宇宙住居という市場でもその技術が活かされてくることを期待したいところです。

そんな未来の世界線では、働き、生活し、くつろぎ、遊ぶことのすべての人間の行動を、コンパクトなモジュールの中で有限資源を循環型で再生しながら暮らしていかなくてはいけないことでしょう。そして月面や火星地表にアバターロボットを行かせて、自律的にコロニー建設や資源採取と加工をしてもらい、どうしても機械には埋めれないニッチな部分にのみ人間が活躍していることでしょう。それは、通信遅延が少ない状態で遠隔操作を行える月や火星の低軌道を周回させるプローブに乗り込み、遠隔で火星地上のアバターを操作するようなことが予測されます。

外から資源を獲得して持ち帰る、という昔から変わらない人間の行動からすると、このような宇宙活動が恐らく未来の人間社会の青写真となり、その未来社会における仕事は、その未来に活躍するだろうマテリアルの開発か、クレーンを操作するような職能や、その機械やインターフェイスを開発するエンジニア、そして人間の心を動かして市場を形成していくようなことができるアーティストの力が必要になり、それがまさにSTEAM教育なのではないかと考えます。

2021年夏の現時点でのまとめとしての「超える住まい」とは、未来に活躍できるSTEAM教育要素と、宇宙ステーションのような閉鎖空間でも精神を保ち仕事ができるような精神訓練、あるいはリラクゼーションのための広い空間を疑似的にでも感じることのできるVRリビングルーム、そのようなものをステイホーム時代に作っていくようなクリエイターやビジネスパーソンの住まい方を定点観測してアップデートしていけたら面白いとは思います。住まいを創るクリエイターの住まい、そこに超える住まいが見えてくるのかもしれません。

つづく。。。

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